衆院農林水産委員会は18日、農政の方向性を定めた食料・農業・農村基本法改正案を、自民、公明両党と日本維新の会の賛成多数で可決した。維新の修正案を一部反映し、多収品種の導入促進を追記する。立憲民主党などの修正案は否決した。食料の価格形成の制度具体化を政府に求める付帯決議も採択した。改正案は19日の衆院本会議で可決され、参院に送付される見通し。
改正案は、農業人口の急減などを踏まえ、食料安全保障の確保を基本理念に据える。食料の価格形成で「持続的な供給に要する合理的な費用」を考慮するとの方針も明記する。
この日の委員会では採決に先立ち、与党と維新が共同で修正案を提出。農業の生産性を高める施策の対象に、多収化につながる新品種の導入促進を明記する内容。維新が示した案の一部を与党が受け入れた形で、提出3党の賛成で可決された。
一方、立民は無所属の北神圭朗氏と共同で修正案を提出。法律の基本理念に「農業所得の確保」を加えることなどを求めた。与党との協議は折り合わず、否決された。共産党と国民民主党もそれぞれ修正案を提出したが、いずれも否決された。
公明の角田秀穂氏は改正案に賛成の立場で討論に臨み、「理念の実現のために各種施策の新たな方向性を打ち出していることなどを評価する」と述べた。維新の一谷勇一郎氏も同党の案が反映されたとして賛成した。
立民の緑川貴士氏は改正案に反対し、農政の「真摯(しんし)な総括と批判的な検証」を求めた。食料の価格形成を巡り、「農家にとって厳しい価格で妥結せざるを得ない場合に対応した、直接支払いの仕組みが不可欠だ」と訴えた。
付帯決議は共産党を除く各党の賛成多数で採択した。食料自給率の向上を政府に念押しし、「多様な農業者」への配慮や有機農業の推進を求めた。