強力系の品種増
「国産需要はじわじわ高まっている」と語る大手製粉会社の担当者は、その理由に品種の切り替わりを挙げ、以前より収量や品質が高い水準で安定してきたとみる。近年作付けが増える「ゆめちから」がその例だ。そのため、従来は輸入麦と混ぜられることが多かった国産麦が、単独で商品化できるようになった。パン・中華麺の小麦は9割が輸入麦なだけに、「国産の使用が付加価値となり、差別化もできる」という。
特に、この数年加速するのが、大手の小売り・メーカーでの国産の使用拡大だ。セブン―イレブン・ジャパンは、4月から、うどんや中華麺などのチルド麺類弁当の原料小麦をほぼ全て、国産に切り替えた。「ゆめちから」「春よ恋」などを使う。
ウクライナ危機を背景とした輸入食料の高騰や供給不安など海外情勢を受け、国産使用は「持続可能な調達の一環」(広報)という。麺類の国産使用量は23年度は1万3500トンで2年で5割増やした。今後パンでも使用を拡大する。
包装・PRを強化
国内で使われるパン・中華麺用小麦の国産比率は1割で、今後拡大の余地は大きい。一方、実需は「カナダ産銘柄の1CWなどと比べると、品質の安定が継続的な課題」(敷島製パン)とみる。 こうした中、主産地の北海道では、製粉会社やホクレンなどが連携し、小麦の共同保管庫を稼働させている。保管能力を高め、年による品質や生産量のばらつきを抑える狙いがある。ホクレンは「ゆめちから」や「春よ恋」の購入希望は増えているとし、「安心して使ってもらえるように品質安定化に努めたい」とする。