[「まいちゃん」のニュース教えて!]広がる学給無償化(動画あり)
物価高受け行政支援 交付金の行方が今後左右
Q 学校給食を無償化する自治体が増えているんだってね。
A 日本には市区町村が1741あり、文部科学省によると、うち1608で小中学校の給食が実施されています。うち22年度に給食費を無償化したのは451ありました。
財源は263市町村が、同年度から給食関連でも使えるようになった政府の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用しています。他はふるさと納税や行政効率化などによる自主財源です。
文科省が17年度に調査した無償化自治体は74でしたが、わずか5年で6倍以上も増えたことになります。
Q 急だね。なぜなのかな?
A 給食費の無償化は、平成以降の少子高齢化を背景に始まりました。特に地方の自治体は、子育て中の若い世帯やその予備世帯に住んでもらうため、医療費の無償化を含めた優遇策を打ち出しました。
ところが、コロナ禍で職を失ったり、賃金が低下したりする人が相次ぎました。さらに、ウクライナ侵攻以降、世界的に物価が高騰し、食料やエネルギーなど生活に必要や物資の多くを輸入に頼る日本は、影響をもろに受けたのです。
2月24日公表の消費者物価指数によると、22年3月以降、月別総合指数が右肩上がりで、1月は前年同月比4・3%上昇しました。中でも光熱・水道14・9%、生鮮品を含む食料7・3%、交通・通信2・1%と70年代のオイルショックと似た傾向です。学校給食法で保護者負担とされている給食費は、食材費と光熱費が含まれています。
こうした中、子育て世帯を支援するため給食費の無償化に踏み切る自治体が増えました。無償でなくても、半額程度を補助したり、小中学校の最終学年だけを無償化したりと、支援内容はさまざまです。
Q 無償化は続くのかな?
A 24日に首相官邸で開かれた物価・賃金・生活総合対策本部で岸田文雄首相は「国民生活を守り抜く」と語りましたが、内閣府地方創生推進事務局によると、「23年度以降の学校給食関連で使える臨時交付金の新たな予算措置は考えていない」としています。交付金を活用する自治体は「交付金なしでは無償化の継続は難しい」と言います。一方、首都圏では4月から独自財源で踏み切る市区が複数あります。
Q 自治体によって判断が割れそうだね。
A 自治体の担当者や研究者は、自治体間格差を懸念しています。給食用に農産物を納める農家も、社会全体で子どもの食を支える公的負担を歓迎しつつ、財政事情で食材費が抑えられ、給食の質や量にも格差が生まれることを不安視しています。
全ての子どもが等しく安全でおいしい給食を食べられるようにするには何が必要か。これからもさまざまな角度から報じていきます。
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