下水汚泥の有効性確認 国交省 肥料化へ全国初調査
調査は、全国108の下水処理場を対象に2023年度に実施。サンプルの汚泥を季節ごとに最大4回に分けて採取、分析した。
このうち、一般的に肥料利用する脱水汚泥などを扱う処理場は77。これらの処理場では、リン酸が3~8%、窒素が5~8%程度含まれていた。一方で、カリウムは1%未満と少なく、同省は「カリウムを補う肥料と混合することが、有効な活用方法の一つ」だと指摘する。
脱水汚泥は、肥料法に基づく公定規格「菌体りん酸肥料」の対象だが、調査では全ての処理場で、同肥料の登録要件となる「リン1%以上」を上回った。
カドミウムや水銀など重金属の割合も分析した。全体の95%に当たる73処理場が、年間を通して肥料法で定める基準値を下回った。一方で、工場排水などを扱う4処理場は、肥料法で定める重金属の基準値を上回った。
下水汚泥を焼却した燃焼灰の成分も分析。成分が濃縮されることで、リンで20~35%程度含まれることを確認した。同省は、汚泥を焼却処理する大規模処理場では、灰の肥料利用も重要とみる。
国は30年までに、堆肥・下水汚泥資源の使用量を倍増し、肥料の使用量(リンベース)に占める国内資源の利用割合を40%まで拡大する目標を掲げる。